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GHGプロトコルとは

2023.09.01

GHGプロトコル(温室効果ガスプロトコル)は、企業や地域の温室効果ガス(GHG)排出量を測定、報告、削減するための国際的な標準です。GHGプロトコルは、世界資源研究所(WRI)と「世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development:WBCSD) 」によって開発され、以下の主要な2つのアプローチで構成されています。

  • 企業向けGHGアカウンティングおよび報告標準(Corporate Standard):企業の温室効果ガス排出量を計算・報告するための標準。
  • 地域向けGHGアカウンティングおよび報告標準(Community Standard):地域全体の温室効果ガス排出量を計算・報告するための標準。

企業向けGHGアカウンティングでは、排出源を以下の3つのスコープに分類します。

  • スコープ1:直接排出量。企業が直接所有・管理する施設や車両からの排出
  • スコープ2:間接排出量。電力、熱、冷暖房の消費に起因する排出。
  • スコープ3:その他の間接排出量。サプライチェーンや廃棄物処理など、企業の活動に関連する排出。

GHGプロトコルの算出方法は、以下の手順で実施されます。

  • 境界設定:企業や地域の範囲を明確にし、対象となる排出源を特定します。
  • 排出源の分類:排出源をスコープ1、2、3に分類します。
  • 排出量の計算:排出源ごとに、アクティビティデータ(例:燃料使用量)と排出係数(例:CO2当たりの燃料単位)を用いて、GHG排出量を計算します。
  • 不確実性の評価:排出量計算に関連する不確実性を評価し、改善に努めます。
  • 報告:計算された排出量を報告し、継続的な改善と目標達成の追跡を行います。

GHGプロトコルは、企業や地域が排出量を正確に計測・報告し、削減目標を立てるための基準を提供しています。これにより、GHGプロトコルは、持続可能な開発と気候変動対策の実施に役立っています。排出量の把握を通じて、企業や地域は、効果的な緩和策を立案し、実行できるようになります。

GHGプロトコルは、以下のような利点も提供しています。

  • 透明性の向上:GHG排出量の計算・報告によって、企業や地域の環境への影響が明確になり、ステークホルダーとの信頼関係が強化されます。
  • ベンチマーキング:他の企業や地域と比較して、自身の排出量の状況を把握し、最適な削減策を導入することができます。
  • コスト削減:排出量削減により、エネルギー効率の向上やリソースの最適化が実現し、コスト削減が可能になります。
  • 規制への対応:国際的な気候変動対策や法規制に適切に対応し、リスクを低減できます。
  • イメージ向上:環境に配慮した経営が評価され、企業や地域のブランド価値が向上します。

GHGプロトコルを活用することで、企業や地域は温室効果ガス排出量を把握し、削減目標を達成するための戦略を立案できます。また、気候変動対策を積極的に取り組むことで、サステナビリティを追求し、環境に配慮した持続可能な経営が実現されます。

日本におけるGHGプロトコルの取り組み

日本では、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みが政府、企業、地域などのあらゆるレベルで進められています。GHGプロトコルは、日本の企業や地域での排出量計算・削減の基準としても広く活用されています。

政府は、国内排出量を削減するための長期戦略や目標を設定し、具体的な施策を展開しています。例えば、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げており、再生可能エネルギーの普及促進やエネルギー効率の向上などの方策が検討されています。また、2021年にはグリーン成長戦略が策定され、環境技術やサービスの開発・普及を促進することで、環境負荷の低減と経済成長を両立させる方向性が示されています。

企業においても、環境への配慮が重要な経営課題となっており、GHGプロトコルを用いて排出量を計測・報告し、削減目標を立てる企業が増えています。また、環境情報開示の取り組みとして、環境報告書やサステナビリティ報告書の公表が一般的になっており、ステークホルダーへの情報提供やコミュニケーションが強化されています。

地域レベルでも、地方自治体や市民団体が主導となり、地域全体での温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。例えば、エコモデルシティや地域循環型社会形成推進事業など、地域特性に応じた独自の取り組みが展開されており、低炭素社会の実現に向けた努力が続けられています。

これらの取り組みは、国際的な気候変動対策にも貢献しており、日本はパリ協定の目標達成に向けて積極的に取り組んでいます。GHGプロトコルを活用することで、日本の企業や地域は、温室効果ガス排出量の削減に向けた具体的な行動計画を立案し、実行に移すことができます。また、排出量の把握や削減効果の検証を通じて、継続的な改善を図ることが可能になります。

さらに、GHGプロトコルに基づく取り組みを通じて、日本企業は国際的なサプライチェーンにおいても環境負荷の低減に貢献し、グリーンプロダクトやサービスの開発・提供を促進できます。これにより、企業の競争力やブランド価値が向上し、持続可能な経営が実現されることが期待されます。

また、地域レベルでは、自治体や市民団体が協力して、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入、交通インフラの整備、循環型社会の構築など、多様な取り組みを推進しています。これにより、低炭素社会への移行が加速し、地域の持続可能な発展が実現されます。

日本におけるGHGプロトコルを用いた取り組みは、国際的な気候変動対策や持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた重要な一歩となっています。今後も、政府、企業、地域が連携し、温室効果ガス排出量の削減と持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進められることが期待されます。

GHGプロトコルと正確な電力量計測

GHGプロトコルは、温室効果ガス(GHG)排出量を計算・報告・削減するための国際的な標準であり、企業や地域が環境負荷を把握し、削減目標を設定する上で重要です。一方、正確な電力量計測は、電力消費に起因するGHG排出量を正確に把握するために不可欠な要素です。

GHGプロトコルでは、温室効果ガス排出量はスコープ1(直接排出量)、スコープ2(間接排出量:電力・熱・冷暖房)、スコープ3(その他の間接排出量)に分類されます。スコープ2において、電力消費が大きな割合を占めるため、正確な電力量計測が求められます。

正確な電力量計測を行う方法として、以下の点が重要です。

  • 電力量計の選定:正確な測定が可能な電力量計を選定し、定期的な校正・メンテナンスを実施することが重要です。また、需要家全体の電力消費を把握するために、適切な数・配置の電力量計を設置することが求められます。
  • データ収集・管理:電力量計から得られるデータを定期的に収集し、正確な記録・管理を行うことで、消費電力の変化やトレンドを把握することができます。これにより、エネルギー効率改善や電力消費削減の取り組みが促進されます。
  • 排出係数の適用:正確な電力量計測と、地域やエネルギー供給元に応じた適切な排出係数を組み合わせることで、電力消費に起因するGHG排出量が正確に計算されます。

正確な電力量計測は、GHGプロトコルに基づく排出量計算・報告・削減の取り組みにおいて、以下のような利点をもたらします。

  • 排出量の正確な把握:電力消費に関連するGHG排出量を正確に把握することで、削減目標の設定や達成状況の評価が容易になります。これにより、効果的な排出削減策を策定し、実行することができます。
  • エネルギー効率の向上:正確な電力量計測により、エネルギー使用状況を詳細に把握し、無駄のある箇所を特定できます。これにより、エネルギー効率の向上策を適切に立案・実行できるようになります。
  • コスト削減:エネルギー効率の向上により、電力消費が削減されることで、コスト削減が期待できます。また、GHG排出量削減により、環境に関連する規制や税制に対応し、リスクを低減できます。
  • 透明性の向上:正確な電力量計測とGHG排出量の計算・報告を行うことで、企業や地域の環境への影響が明確になり、ステークホルダーとの信頼関係が強化されます。
  • 環境負荷の低減:正確な電力量計測を通じて、エネルギー供給元や地域特性に応じた最適な緩和策を導入することが可能になります。これにより、環境負荷の低減が実現されます。

最適な電力量管理

GHGプロトコルの排出量算出以外でも、エネルギーマネージメントシステムにおいて電力消費量の正確性・リアルタイム性は重要な役割を果たしています。正確な電力計測を可能とするエネルギーマネージメントシステムの一つとして、POWERGsがあります。多拠点型脱炭素プラットフォームPOWERGsは、太陽光発電・蓄電池・EV充放電器・エアコン・スマートメータ等の多様な機器が、多拠点に混在した複雑なシステムにおいて、消費電力量の計測を中心として、各種データの正確な集約やVPPやDRのような機器制御を可能とします。そのため、PPA/FIP、DER/VPP 、HEMS/BEMS、GHGプロトコル算出、マイクログリッド等の各種エネルギーマネージメントシステムに活用可能です。

docomoのLTE網を用いたモバイルネットワークを標準搭載しているため、設置やネットワーク接続が簡単にできるため、紙の帳票やメモリーカードを用いたデータ収集に比べて省力化・省人化が可能になります。

今回は、GHGプロトコルについてご紹介しました。最後までお読み頂きありがとうございました。

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