「脱炭素」という言葉を見ない日が無くなりました。なぜ今、脱炭素が注目されているのでしょうか。
ノーベル賞を受賞した米プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎博士が、地球の気候を物理法則に基づいて計算機シミュレーションすることで、CO2の増加が与える気候への影響を初めて明らかにしました。
そして2016年のパリ協定で、温室効果ガス削減に関する世界的な取り決めが示され、産業革命後の気温上昇を2℃(もしくは1.5℃)以内に抑えるという、世界共通の「2度目標、1.5度目標」という具体的な目標が掲げられたことでより加速することになりました。そして最近の研究から、この目標を達成するためには2050年までに世界でのCO2排出量をネットゼロにする必要があると言われています。
気候変動と二酸化炭素の関係について懐疑的な意見もありますが、各国が政治的・経済的課題として位置づけ法規制やESG投資などの取り組みをはじめたことから、この流れは今後も間違いなく拡大していくでしょう。
現在の「脱炭素ブーム」を後押ししているのは
と言われています。
ジョン・ドーアのSpeed&Scaleによると、世界で1年間に排出されているCO2は59ギガトンと言われています。これをあと27年でネットゼロ(排出分を吸収分で相殺する)というのは現在の社会情勢や技術では実現できず、新たなイノベーションがたくさん必要と言われています。
このことから、テスラやBYDを中心として、世界では数多くの クリーンテックベチャーが誕生しています。
Speed&Scaleによると、59ギガトンをキャンセルためには、一般的なエネルギーマネージメントが貢献する
でキャンセルできるCO2は半分程度で、他にもさまざまな取り組みが必要とされています。
今後必要と言われているイノベーション
比較的実現が近いとされている、再生可能エネルギーの主電力化やVPP(Virtual Power Plant)ですら、課題が残っている状態ですので解決しなければならない課題だらけです。
これらの課題に対し、日本政府も5月にGX推進法を可決(今後10年で150兆円の投資環境を整備)され、本格的に動き出しました。この投資の原資としては、将来発動するカーボンプライシング、炭素税等が想定されています。すなわち化石由来の電力やエネルギーの価格はさらに高騰していき、温室効果ガスの排出に対して多額のいわゆる「炭素負債」が課せられることになるため、企業や自治体も必死で脱炭素に取り組んでいるのです。
脱炭素の課題の一つとして、ソフトウェア開発企業の目線で感じることは、「デジタル」を十分に使いこなしていない、ということです。デジタルを使いこなせば解決できる課題がたくさんあると思います。
あらゆる脱炭素をすすめるためには、エネルギーフローのデータを正確に計測し、必要なタイミングで安全に流通させることが基本となります。これを実現するのが次世代のエネルギーマネージメントです。
Society5.0※1時代の次世代のエネルギーマネージメントの条件としては、
のようなものであると考えています。POWERGsはこれらの課題を解決し、「すべてのエネルギーデータを安全にデジタル化する」未来を目指して取り組んでまいります。
※1 Society5.0
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すとし、日本政府により提唱されている。